8.風唄
欲望の波に夕蕩(たゆと)う
一輪の花
紅(くれない)の地平に燃ゆる
一片の詩
絶望の 果てに 射し入る
一縷(いちる)の光
流るる 雲を分かつ一陣の風
季節を運ぶ蟻の群れよ
その目に何を見る
風唄口遊(くちずさ)めど
こころ空しいだけ
月夜の惑いよ風の中散る花となれ
永久(とこしえ)の夢に彷徨う鐘の音よ
久遠(くおん)の空を隔て
誰(た)が為に鳴る
あらそい繰り返す人よ
何処(いずこ)へ辿り着く
風唄 口遊めど
波は寄せてまた返すだけ
浮き世の憂いは風の中この身を焦がす
風唄 闇を照らせ 彼方(あなた)に届くまで
爪弾く小さき物語 この唄に
この唄に願いを込めて
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